QCQ 企画という会社が開講している「アマチュア無線技士 養成課程 e ラーニング」の「第三級アマチュア無線技士 短縮コース」を受講したので、その顛末をまとめておく。なおこの投稿は PR 記事ではない。
アマチュア無線について
アマチュア無線とは、
金銭上の利益のためでなく、専ら個人的に無線技術に興味をもち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術研究のための無線通信
であり、アマチュア無線技士はそれを扱うために必要な無線従事者免許 (国家資格) の一つである。
第三級アマチュア無線技士 (3アマ) の免許があれば、
アマチュア無線局の空中線電力 50W 以下の無線設備で18メガヘルツ以上または8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するものの操作
を行うことができる。
アマチュア無線の移動局は空中線電力が 50W までなので、一部の周波数帯を除き、モービル運用なら3アマの資格で事足りる。また、3級からモールス符号による通信 (CW) を行うことができる。
4級 | 3級 | |
---|---|---|
最大出力 | HF: 10W V・UHF: 20W | 50W |
使用できない 周波数帯 | 10MHz 帯 14MHz 帯 18MHz 帯 | 10MHz 帯 14MHz 帯 |
モールス通信 (CW) | 不可 | 可 |
免許の取得方法
3アマの免許を取得するには、以下の方法がある。
- 国家試験に合格する
- 国の認定を受けた養成課程を受講し、修了試験に合格する
養成課程のメリットは、合格率が高いことだと思う。国家試験の合格率が80%前後であるのに対し、養成課程の修了試験は合格率がほぼ100%らしい。その理由は、国家試験より合格に必要な点数が若干低い (6割) のと、自動車の教習所と同じような感じで修了試験の出題内容が簡単なのだと推測される。
養成課程には、会場に赴いて受講する集合研修と、自宅などでインターネット経由で受講する e ラーニングがあるが、今回は後者を選択した。なお e ラーニングの動画はライブ配信ではなく録画なので、自分の都合の良い時間に受講できる。
養成課程の実施機関はいくつかあるが、今回は受講料が一番安くなりそうな QCQ 企画を選んだ。筆者は4アマの同等資格 (一陸技) を持っているので、「第三級アマチュア無線技士 短縮コース」を受講した。
費用
短縮コースの受講料金は、定価が14,950円 (総務省に払う免許申請手数料込み) だが、提携ハムショップでキャンペーンコードをもらうことで3,000円引きになる。
国家試験を受験する場合は、受験料5,400円に加えて免許申請手数料1,750円がかかるので、割引後の差額は (14,950 – 3,000) – (5,400 + 1,750) で 4,800円となる。参考書代などを考えるとさらに差額は小さくなるし、4アマを持っていて効率良く3アマにステップアップしたい人には養成課程はおすすめできる。
4アマを持っていない場合、いきなり3級から受講することはできないようだ。修了試験の範囲は、4アマの知識があることが前提なのか、大半が4級と3級の差分の箇所のようなので、覚えることが少なくてむしろ4アマの国家試験より簡単なような気もする。
なお JARD の e ラーニングならいきなり3級からでも受講できるらしいが、費用がかさむ (28,150円) ので、それなら頑張って国家試験を受ける方がコスパが良い気がする。国家試験の受験には特に制限はない。
モールス符号
3アマと切っても切れないのがモールス符号である。修了試験のうち、法規の多くがこれ関連から出題されるので学習は避けられないが、符号を覚えているだけで確実に得点できるのでサービス問題とも言える。
符号は欧文 (アルファベット) と数字しか出題されないので、語呂合わせなどで頑張れば数日程度で覚えられると思う。修了試験は全問が多肢択一式であり、モールスの送信や受信の実技試験はないので、必ずしもすべての符号を覚えていなくても消去法で正答できる場合がある。

受講スケジュール
受講を申し込んで以降は以下のような流れだった。
5月28日(水) 受講申込み
前日に秋葉原の富士無線電機でもらったキャンペーンコードを使用して、QCQ 企画のウェブサイトから受講を申し込んだ。なおキャンペーンコードは1枚ずつ別々のコードのようだ。

5月29日(木) 受講料金の支払い
「マイページ」経由で受講料金 (11,950円) の請求通知が届いたので、即日クレジットカードで支払った。同日中に入金確認と、教材発送日 (5/30) や開講日 (6/1) の連絡があった。
5月31日(土) 教材到着
ヤマト運輸のネコポスで教材や書類一式 (信書じゃないのか…) が届いた。即日 e ラーニングにログインはできたが、開講日になるまで受講はできなかった。
6月1日(日) 開講
日付が変わった瞬間から講義動画の再生や模擬試験の受験ができるようになったので、早速受講を始めた。
内容は「法規コース」と「工学コース」に分かれており、それぞれ10数個のチャプターに10〜30分程度の講義動画と模擬試験がセットになっている。各チャプターは模擬試験に全問正解するまで次に進めないので、動画を再生しっぱなしにして放置するようなズルはできない。

その日のうちに、すべてのチャプターの受講と、法規コース・無線工学コースそれぞれの判定試験の受験が終わった。
無線工学コースの判定試験に合格すると、修了試験を申し込むためのチケットが表示されるので、テストセンターのサイトから受験の予約をした。試験は CBT 方式で、枠の空き状況にもよるが最短で3日後の日付から選択できるようだ。
6月2日(月) 必要書類の郵送
QCQ 企画宛に以下の書類を郵送した。
- 免許申請書
- 免許証と受講証明書用の写真2枚
- 4アマの免許証のコピー (番号を確認するらしい)
- 免許証送付用封筒 (要・切手貼付)
なお2023年から無線従事者免許証 (従免) と無線局免許状 (局免) の同時申請ができるようになったようで、これにより無線局開設までの所要期間が若干短くなるらしい。同時申請を希望する場合は、修了試験合格後に QCQ 企画から受講証明書と免許申請書が送り返されてくるので、自分で管轄の総合通信局に申請することになる。
6月4日(水) 修了試験受験
夕方に職場の近くのテストセンターで修了試験を受験した。合格基準は法規と無線工学のそれぞれで正答6割以上、難易度は e ラーニングの判定試験に合格する知識があればほぼ間違いなく合格できるレベルだった。所要時間は受付手続きも含めて10分もかからなかった。
翌朝、テストセンターのマイページから合否を確認した。10時以降に結果を確認できると書かれていたが、7時時点で表示された。

筆者は前述の同時申請を希望したので、後日 QCQ 企画から受講証明書などが自宅宛てに送られてくる。
6月19日(木) 受講証明書受領
修了試験合格から2週間以上経って、やっと QCQ 企画から受講証明書が届いた。
ようやくこれで総合通信局に免許証の発行を申請できる。
学習に要した時間
講義動画視聴 (法規) | 5時間 |
模擬試験・判定試験 (法規) | 1時間 |
講義動画視聴 (無線工学) | 2.5時間 |
模擬試験・判定試験 (無線工学) | 1時間 |
復習 | 1時間 |
修了試験 | 0.5時間 |
計 | 11時間 |
感想
モールス符号 (欧文、数字) さえ覚えていれば、修了試験に合格するのは極めて簡単だった。4アマを持っている前提にはなるが、養成課程による3アマ取得はアリだと思う。
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