もう半年くらい前の話だが、独学で第一級陸上無線技術士 (一陸技) に合格したので、そのときやった勉強法をまとめておく。
学習期間
学習期間は約3ヶ月。日にもよるが、休日はだいたい4, 5時間、平日は0〜2時間くらい勉強した。
ただし電気通信主任技術者 (伝送交換) を取っていたので、一陸技の基礎と無線 A は免除となり、無線 B と法規の2科目だけ受験した。勉強時間のほとんどは無線 B に費やした。
スペック
筆者のスペックは以下のような感じ。
- 20代
- 電気通信事業者に勤務
- ただし操作に免許がいるような無線設備を触る機会は皆無
- 通信系の院卒
- ただし専攻は情報工学 (のつもり)
- 学生時代に以下のような授業を受けたが、そんなに得意ではなかったしあまり覚えていなかった。
- 電気回路
- 電磁気学
- 通信工学 など
- 最低限の数学の知識はある。
- 対数
- 三角関数 など
参考書
参考書は以下の3冊を使用した。
- 必須のもの:
- あって損はないもの:
中でも過去問題集は絶対必要だ。と言うより、これだけあれば十分と言っても過言ではないだろう。分厚いので、科目ごとに切り裂いてガムテープで止め、小分けにして使用した。
勉強法 (法規)
法規に関しては、暗記科目なので試験の直前に数日間勉強すればなんとかなる。電通主任と比較しても範囲は広くない。
まず過去問集を開き、問題文で問われているテーマ (例えば「電波法の目的と定義」とか「無線局の免許の申請」など) に全てマーカーで印を付けていく。この作業だけで、出題の傾向がだいたい把握できる。次に、選択肢のうち正答をすべてマーキングしてしまう。先ほどとは別の色を使うのがおすすめ。
過去問集に直接マーキングしてしまうと演習に使えなくなってしまうが、過去問集はあくまでも学習用に使い、演習用の過去問は日本無線協会のサイトから落としてきて印刷して使えば良い。
最終的に過去問集が次のような状態になる。
あとはこの過去問集を繰り返し読む。2, 3周したところで、本番同様に時間を測って、印刷した過去問を解いてみる。そして採点し、わからなかったところや間違ったところを見直す。これをひたすら繰り返せば、7, 8割は取れるようになるはずだ。
勉強法 (無線 B)
次に無線 B について。まず数年分の過去問をざっと眺めてみる。もちろんこの時点では1問足りともわからないが、「この問題さっきも見たな」というのがいくつか見つかるのと、なんとなく傾向が掴めるはずだ。それによってゴール、つまり今後学習するべき項目がある程度見えれば、モチベーションの維持につながる。そして過去問を計算問題とそうでない問題に分類する。
計算問題は、過去問集にある単元表を参考にして出題パターンをまとめ、計算問題集を作る。全部で40種類くらいになる。そして当たり前だが出来るだけ多くの問題を解けるようにする。解法は過去問集に付いているが、それでもわからないところは教科書 (1・2陸技受験教室) で補充すれば良い。コツは、わからないところは潔くスキップして、わかるところから順に進めていくこと。
あとは市販の単語帳に重要公式をまとめて、通勤電車内で覚えるのも効果があるだろう。計20枚弱にしかならなかったが、例えば次のような感じ。ポイントは単位を正確に覚えること。
- マクスウェル方程式 (出題パターンが決まっているので、完璧に理解できなくても解答はできる)
- x [dB] と真数 G の関係
- log2, log π の値
- 電力利得、電圧利得のデシベル計算
- 光速 c [m/s]、波長 λ [m]、周波数 f [Hz] の関係
- 相対利得と絶対利得の基準アンテナ
- 直交する電界成分の位相差 [rad]
- 同軸ケーブルの特性インピーダンス Z [Ω]
- 微小ダイポールの実効面積 Ae [m2]
- 位相速度と群速度の関係
- 送信アンテナから d [m] 離れた地点の電力密度 Pd [W/m2]
- アンテナからの電界強度 E [V/m]
- 受信点における合成電界強度 E [V/m]
- アンテナ利得
- アンテナの実効長
- 見通し距離 d [km]、等価地球半径 kR [km] など
対数や三角関数は嫌いではないので、そんなに苦にならなかった。逆にこの2つができなければ、計算問題はどうにもならないと考えた方が良い。
あとは問題のパターンと対応する公式を理解し、「この問題と言えばこの公式」と言うように学習していく。公式も細分したら結構な数になるが、実は相互につながっていたり、変形、代入で導出できることが多いので、工夫すれば学習が楽になるだろう。
計算問題でないところは、法規同様に繰り返し過去問を問いて学習する。
まとめ
情報系や有線通信系の人なら、電通主任の方が難易度が低い (主観) ので、時間とお金はかかるが先にそっちを取って2科目免除を利用するのが得策だと感じた。電通主任は以下のようなメリットがあるからだ。
- 試験が休日にある
- 学歴や職歴、他の所持資格など、科目免除になる条件が多い
- 合格すると、一陸技の基礎だけでなくなぜか無線 A も科目免除になる
- その科目免除には有効期限がない
一陸技は難関だと言われているが、大半が過去問の類似問題であり、ボーダーも6割と高くない。繰り返し過去問を学習すれば、決して受からない試験ではない。ただし平日に2日間という試験日程なので、人によってはそこが一番ハードルが高いんじゃないだろうか。
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